◆Introduction

組織のあるところ権力闘争は尽きない。組織というものは、そこにいるものの思惑によって、いつどこでどのような方向に突き進むのか予測できない。トップの座にしがみつく者。トップの座を狙う者。両者を戦争させて最後に獲物をかっさらう。飽くなき欲求は、激烈な“仁義なき戦い”に駆り立てる。舞台は大阪南部に位置する岸和田市。そこはまだ自然が多く残る穏やかな場所であった。ところが、今から6年前。ある家に身を寄せた姉御の出現でこの静かな土地がにわかに殺気だってきたのである。

 

◆とんぼ池抗争Vol.1 〜とんぼ池の主 白鳥の竜

時は2003年3月8日。岸和田市の山手に広大な土地を持つとんぼ池公園で事件は勃発した。
とんぼ池公園は、恵まれた自然のおかげで週末ともなるとカップルや子供連れ、犬のお散歩やジョギングの人たちで賑わう社交場となっている。ちょうどこの日も土曜日とあって、そこそこの人で賑わっていた。
そんな中に、パティ姉御がチンピラのVITAを引き連れて散歩に来ていた。パティ姉御はいつものようにハバをきかせ、通りすがりの犬たちに「挨拶はないんかぁい!」と言わんばかりに「ガウガウ」とメンチを切っては息巻く。その横でチンピラVITAは、根っからの小心者から鉄砲玉のように前に出て向かっていく勇気もなく、ご主人様の後ろに隠れて「キャンキャン」ととりあえず吠えてみる...そんな姉御一家が、池に差し掛かった時である。チンピラVITAが池の中ほどにいる白鳥を見つけていつものように、「キャンキャン」と甲高い声で吠えたてる。パティ姉御は、無駄には吠えずその様子をシカと見ていた。とその時、1羽の白鳥と目が合い、お互いメンチの切りあいが始まった。小さな火花が散った瞬間である。幸い、その場を足早に立ち去ったために事なきを得たが、どうやらお互いあまり感じの良い印象を持たなかったようだ。

白鳥の竜

それからしばらくして帰り際に池に差し掛かると、中ほどに居た白鳥が、物凄いスピードで岸辺に近づいてきた。池と岸辺の間には、低いフェンスで囲まれているだけである。瞬く間に、フェンスにたどり着いた白鳥は、大きく羽を広げて「シャー」と言う声を出している。その低い喉は、あたかもガラガラヘビのようであった。これがとんぼ池の主、「白鳥の竜」...ということにしておこう。
そうこうしていると、もう1羽の白鳥がフェンスにたどり着き、同じように威嚇を始める。2羽の威嚇した白鳥に恐れおののいたチンピラVITAは、これでもかと言わんばかりにリードを引っ張って白鳥から少しでも離れたところでけたたましく鳴きわめく。

 

←白鳥の竜(威嚇する寸前)

 

人間ですら、驚いてひいてしまうような状況の中、姉御パティは、何も言わずパトリオットミサイルのごとくリードを引っ張ってフェンスに向かっていった。その力はあまりに強く思わずひっくり返されるほどであった。咄嗟に危ないと判断したため、リードを強く引いてなんとか姉御パティを食い止めることが出来たが、両者の睨みあいは続いた。こうして小さな火花から大きな火花へと事は発展し、とんぼ池の主、白鳥の竜と姉御パティの仁義なき戦いが幕を開けたのである。

 

フェンス下から覗き込むパティ→

覗き込むパティ